建設業界の人手不足|2026年の採用状況と企業選び5つの視点
建設業界の人手不足が話題になる中、「本当に未経験でも雇ってもらえるのか」「人手不足を理由に、質の低い企業に当たってしまわないか」と感じている方は多いのではないでしょうか。2026年現在、建設業界は業種によって採用状況に大きな差があり、優良企業と単に人手を集めたい企業を見分ける視点が重要になっています。この記事では、建設業界の人手不足の現状から、業種別の実態、企業選びで押さえるべき5つの視点までを、現場を見てきた経験からお伝えします。
2026年の建設業界が直面する人手不足の現状
建設業界は2026年も人手不足が続き、業種による採用難度のばらつきが拡大しています。高齢化と若年層確保が業界全体の共通課題です。
人手不足の3つの背景と離職率の実態
建設業界の人手不足は、単一の原因ではなく複数の要因が重なった構造的な問題です。現場を見てきた経験から言えるのは、大きく3つの背景があるということです。
1つ目は、就業者の高齢化による退職者の増加です。業界の年齢構成を見ると、55歳以上の割合が概ね3割を超え、一方で29歳以下の割合は1割前後にとどまる傾向が続いています。ベテラン層の退職ラッシュに対して、若手の入職が追いつかない状況が慢性化しているのです。
2つ目は、若年層が業界を敬遠する傾向です。「きつい・汚い・危険」というかつてのイメージが根強く残り、進路選択の段階で候補から外される場面が少なくありません。実際の現場は機械化や安全管理が進み、以前とは大きく変わっているのですが、その情報が届いていないという課題があります。
3つ目は、賃金体系の課題です。日給月給制が主流だった時代の名残で、天候や工期による収入の変動が大きく、他業種と比べて生活設計がしにくいという印象を持たれてきました。ただし近年は月給制への移行を進める企業も増えています。
2026年の採用市場で何が起きているのか
2026年の建設業界の採用市場は、企業側が積極姿勢を強めています。時間外労働の上限規制が本格適用されて以降、1人あたりの労働時間が制限される中で、複数人での人員体制を組む必要性が高まりました。結果として、未経験者への門戸が大きく開かれています。
一方で、人手不足に乗じて採用基準を過度に下げ、「とりあえず雇う」ことを優先する企業も存在します。求人票の給与欄だけを見て入社を決めると、実態とのギャップに悩むケースも起きやすい時期です。まずは業界全体の傾向をつかむために、業種別の状況を整理してみます。詳しい業務内容や施工事例については、業務内容・施工事例はこちらからご確認いただけます。
| 業種 | 人手不足の深刻度 | 採用のしやすさ |
|---|---|---|
| 土木・造園 | 高い | 中程度 |
| 外構・エクステリア | 高い | やや高い |
| 遊具・公園施設 | 中〜高 | 中程度 |
| 電気・機械設備 | 高い | 低い(経験者優遇) |
業種別に見る人手不足と仕事の特徴・給与実態
建設業の業種ごとに仕事内容・給与・拘束時間が大きく異なり、人手不足度も業種次第です。未経験者向けの職種の実態を整理してお伝えします。
未経験が選びやすい業種と高スキルが活かせる業種の違い
「建設業」と一言で言っても、業種によって仕事の性質は大きく異なります。未経験からの転職を考える場合、この違いを理解しておくことが、続けやすさに直結します。
土木・造園は、未経験受け入れが最も活発な業種の1つです。公園整備、法面工事、植栽管理など、体力と丁寧さがあれば経験ゼロからでも入っていける仕事が多く、教育体制を整えている会社も増えています。造園は季節による作業内容の変化があり、屋外で身体を動かすことが好きな方に向いています。
外構・エクステリアは、住宅の門扉、フェンス、駐車場、庭まわりを施工する仕事です。1件あたりの工期が比較的短く、完成が目に見えて達成感を得やすい特徴があります。抗菌仕様の外構など、近年ニーズが高まっている分野もあり、未経験からでも技術を積み上げやすい業種です。
遊具・公園施設は、公園の遊具設置や無電柱化に関わる工事など、公共性の高い仕事です。安全基準が厳しいため、一定の教育期間が必要ですが、地域に貢献している実感を得やすい仕事です。
一方、電気・機械設備は、資格の有無が採用に大きく影響するため、経験者優遇の傾向が強い業種です。未経験からの参入は可能ですが、資格取得と経験の積み上げに時間を要します。
1日の流れから見える建設業の働き方の現実
求人票では見えにくいのが、1日の実際の流れです。多くの現場では朝礼が7時半〜8時頃に始まり、安全確認と当日の作業内容の共有が行われます。その後、現場移動、午前作業、昼休憩、午後作業と続き、片付けを含めて17時〜18時頃の終業が一般的な流れです。
季節による変動もあります。夏場は熱中症対策で早朝からの作業や休憩の増加、冬場は日没が早いため作業時間が短くなる、といった変化があります。天候による工期調整も避けられません。ただし近年は労働時間管理が厳格化され、無理な工程を組まない企業が増えています。
| 業種 | 仕事内容の特徴 | 月収目安(未経験入社時) |
|---|---|---|
| 土木・造園 | 公園・法面整備・植栽など | 23〜28万円 |
| 外構・エクステリア | 門扉・駐車場・庭まわり | 22〜27万円 |
| 遊具・公園施設 | 遊具設置・無電柱化工事 | 24〜29万円 |
人手不足が広がる中、企業が求める人材像と採用基準の変化
人手不足が採用基準の多様化をもたらし、経歴より人間関係構築力を評価する企業が増加しています。未経験者のチャンスが確実に拡大している状況です。
「人手不足だから誰でもいい」は誤解。企業が本当に見ている3つのポイント
人手不足のニュースを見て「今なら誰でも入れる」と考えるのは、少し実態とずれています。現場を見てきた経験から言えるのは、採用基準が変化しているのは事実ですが、それは「間口が広がった」のであって「基準がなくなった」わけではないということです。企業が本当に見ているポイントは、大きく3つあります。
1つ目は、続ける意思です。せっかく採用して教育しても、半年〜1年で辞められてしまうと、企業側の負担が非常に大きくなります。そのため面接では「なぜ建設業なのか」「なぜこの会社なのか」を丁寧に聞かれる傾向が強まっています。学歴や経歴が浅くても、志望動機がしっかり語れる方は評価されやすいです。
2つ目は、安全意識です。建設現場は一瞬の不注意が大きな事故につながる場面があります。指示を聞く姿勢、確認を怠らない姿勢、報告を欠かさない姿勢が備わっている方は、経験がなくても安心して育てられます。
3つ目は、協調性です。建設業はチームで動く仕事です。1人で完結する作業はほとんどなく、先輩・同僚・他業種の職人・元請け・お客様と、多様な立場の方と関わります。挨拶、返事、感謝を伝える姿勢は、経歴以上に重視される要素です。
面接で見抜く「本当に大事にしてくれる企業」の見分け方
採用選考は、企業が応募者を見る場であると同時に、応募者が企業を見る場でもあります。面接時に注目したいポイントをいくつか挙げます。
まず、待遇や福利厚生の説明の丁寧さです。給与の内訳(基本給・手当・能率給)、休日日数、残業時間の目安、社会保険、退職金制度などを聞かれる前に明示する企業は、透明性を重視している可能性が高いです。逆に「そのあたりは入社してから」と曖昧にする企業は、後々のトラブルにつながりやすい傾向があります。
次に、先輩社員の雰囲気です。可能であれば、面接時に現場見学や先輩社員との面談を申し出てみてください。「実際に働いている人の表情」は、求人票からは絶対に読み取れない情報です。応じてくれる企業は、内部を見せられる自信があるということでもあります。
| 企業の採用方針 | チェック項目の例 | 合否判定の傾向 |
|---|---|---|
| 人手確保重視 | やる気・普通自動車免許 | 合格しやすい |
| 長期定着重視 | 志望動機・協調性 | 面談重視・時間をかける |
| 即戦力重視 | 経験・資格・実績 | 経験者に限定的 |
より詳しく仕事内容や現場の雰囲気を知りたい方は、業務内容・施工事例はこちらからご確認ください。
人手不足時代の給与・昇進・キャリア設計の現実
人手不足により初年度から月収28万円超も可能ですが、昇進速度の加速化に伴う責任増加が課題となります。3〜5年でのキャリア形成の現実をお伝えします。
未経験入社から1年で月収30万円は本当か。昇進スピードの落とし穴
「未経験でも1年で月収30万円」といった求人表現を見かけることがあります。これは事実として起こり得ますが、その内訳を理解しておく必要があります。
月収30万円が実現する背景には、基本給に加えて資格手当、皆勤手当、能率給、残業手当などが含まれています。基本給だけを見ると18〜22万円で、残りは手当や残業代というケースが少なくありません。この構造自体は業界の慣習として一般的ですが、「基本給が低い」ということは、賞与や退職金の算定基礎が低くなることを意味します。
また、人手不足を背景に昇進スピードが加速している企業もあります。3年目でリーダー、5年目で現場代理人といったペースは、以前と比べて概ね1〜2年早まっている印象です。ただし、これには副作用もあります。技術と経験が追いつかないまま責任だけが増える状況は、精神的な負担が大きく、離職の一因にもなります。
とはいえ、教育体制がしっかりした企業であれば、この加速は「早くステップアップできる機会」として活きます。重要なのは、企業側が段階的な育成計画を持っているかどうかです。
5年後のあなたのポジション。現場施工から管理職へのステップ
未経験から5年間で、どのようなキャリアパスが描けるのかを整理します。多くの企業では、1〜2年目は現場作業員として基礎技術と安全管理を身につけます。この期間に、玉掛け、フォークリフト、車両系建設機械などの資格取得を進めます。
3年目前後で、小規模現場のリーダーや職長を任される場面が出てきます。ここで人材管理や工程管理の経験を積み、4〜5年目で施工管理や現場代理人へのステップアップを目指す流れが一般的です。並行して、施工管理技士などの国家資格取得を目指す方も多いです。
5年目以降は、より大きな現場を任される管理職コース、専門技術を深める職人コース、営業や積算に転じるコース、独立して自ら会社を持つコースなど、複数の分岐があります。自分がどの方向に進みたいかを、入社時から意識しておくと、日々の学びの吸収率が変わってきます。
人手不足の今だからこそ。ブラック企業と優良企業の見分け方
人手不足時代は採用企業が増えますが、安全投資・福利厚生・離職率の3指標で企業文化の質が判定可能です。優良企業の見分け方を実践的に解説します。
求人票「時給1,500円」「月収50万円可能」に隠された落とし穴
求人票の給与欄には、応募を集めるための工夫が施されています。それ自体は当然のことですが、額面の数字だけで判断すると、入社後のギャップに苦しむことがあります。確認したい項目を挙げます。
まず「月収○○万円可能」という表記は、上限値であることが多いです。実際の平均や中央値は明示されていないことが一般的で、達成には残業や資格が前提となっているケースもあります。応募時に「モデルケースの内訳」を確認することをおすすめします。
次に、基本給と各種手当の比率です。基本給が低く、手当で総額を膨らませている構成は、賞与や退職金、有給休暇取得時の給与に影響します。基本給が総額の6割以上を占めているかは、一つの目安になります。
残業時間の記載も重要です。「みなし残業40時間分含む」といった記載がある場合、実労働時間がそれを大きく超えることが常態化していないかを確認する必要があります。休日日数についても、年間105日以下と120日以上では、年間の休みが2週間以上違います。
企業の「本気度」を判断する。事前調査と質問リスト5つ
面接前後にできる事前調査と、面接での質問例をお伝えします。事前調査としては、企業のホームページで施工事例、社員紹介、安全への取り組み、資格取得支援制度などを確認します。SNSで現場の様子を発信している企業は、内部を見せる姿勢があるという点で信頼性が高い傾向があります。
面接では、以下の5つの質問を用意しておくと、企業の実態が見えてきます。
- 過去3年間で、何名の方が入社し、何名の方が退職されましたか
- 資格取得の費用負担や勉強時間の確保について、どのような制度がありますか
- 年間の休日日数と、有給休暇の平均取得日数を教えてください
- 入社後半年間の教育プログラムはどのような内容ですか
- 先輩社員の方と少しお話しさせていただくことは可能でしょうか
これらの質問に対して、具体的な数字や事例で答えてくれる企業は、内部の透明性が高いといえます。逆に、はぐらかされたり、感覚的な回答しか返ってこない場合は、慎重に検討する余地があります。
企業選びで迷われている方は、まずはお気軽にご相談ください。お問い合わせはこちらから、疑問や不安をお聞かせいただければ、率直にお答えします。
よくある質問(FAQ)
Q. 人手不足なら、資格や経験がなくても採用されますか
未経験・資格なしでも採用の可能性は高まっています。ただし「安全意識」「協調性」「続ける意思」は評価されます。面接で「なぜこの仕事を選んだのか」を自分の言葉で説明できることが鍵です。
Q. 給与はすぐ上がりますか。基本給と手当の仕組みは
初年度から月収28〜32万円も可能ですが、基本給・能率給・手当の内訳確認が重要です。基本給が総額の6割以上あるかを目安に、賞与や退職金への影響も含めて長期目線で判断してください。
Q. 3年以内に辞める人が多いというのは本当ですか
業界全体で離職率は高めですが、企業によって大きく異なります。安全投資や人間関係が充実した企業では定着率が概ね7割超。面接時に「過去3年の入退社人数」を質問すると実態が見えます。
この記事を書いた理由
著者 - 株式会社太陽美建
これまでお客様からよくいただくご相談として、「人手不足といっても、本当に大切にしてくれる企業なのかが不安」という声が増えています。求人票の給与や条件だけでは判断がつかず、入社後に想像と違ったと感じるケースを避けたいという、切実な思いを感じます。
採用企業が増える今だからこそ、面接での質問、企業の返答、現場の雰囲気から「本当に成長を支援する姿勢があるか」を見抜く視点をお伝えしたいと考え、この記事を執筆しました。
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